お酒と筋肉の関係について・お酒の豆知識
お酒と筋肉の痛み
お酒を飲むと体が痛くなる・・・。だるくなる・・・。
そういった経験を持ったことがある方は多いのではないでしょうか??
仕事をしていても「お酒を飲むと体が痛くなったり、だるくなったりするのはどうして?」と聞かれることが多々あります。
今回はお酒についてやお酒を飲んだ時に体に与える影響について少しお話してみようと思います。
お酒を飲むと痛くなる理由
これは急性アルコール筋症といって、アルコールを摂取したあとに筋肉痛のような痛みが出る症状のことを言います。
これが慢性的になれば慢性アルコール筋症というものになってきます。
これらはアルコールを摂取することによって筋繊維が破壊されるために起こってくるようです。
通常、運動やトレーニングによって筋繊維が破壊された場合には体が筋繊維を修復してより強い筋繊維へと変わっていくのですが、アルコールを摂取したときの筋繊維の損傷は回復はしないようになっているらしいのです。
これはアルコールを摂取しアルコールを分解することでたんぱく質の合成が阻害されることによります。
といことは飲酒したあとに筋肉の痛みがあれば筋肉がどんどんやせ細っていくという状態になります。
特に筋繊維の破壊は速筋繊維から起こると言われているようです。
そして長期にわたってアルコールを摂取している場合、著しい筋力の低下や筋肉痛は徐々に起きなくなる場合もあるようですが、筋力の低下と筋肉の萎縮は慢性的に続いている状態。これを慢性アルコール筋症と呼ぶようです。
これは量に関わらず毎日飲酒をしている方は気を付けたほうがいいと思われます。
後で紹介していきますがアルコールの分解能力は遺伝的なもので左右されています。
アルコールを速やかに分解できない人の場合はより顕著に出やすい傾向にあるようで、そういう方は水分(スポーツドリンクなど)をしっかり摂取すること、またプロテインなどのたんぱく質をしっかりと摂取することで症状を軽くする効果があるかもしれません。
アルコールと筋肉・筋トレへの影響
長期的な飲酒や大量の飲酒が(タンパク質などの合成を行い筋肉を作る)ホルモンなどに影響を及ぼす場合があります。
適度な量であれば問題ないとされているのですが、特にたくさんお酒を飲む方などは注意が必要なようです。
また飲酒以外にもホルモンの分泌を阻害する因子として睡眠不足や肥満などが悪影響を与えると言われています。
ビールについては色んな考えがあるようですが、ビールに含まれているホップの成分には色々な可能性があるようです。
ホップの成分の中には女性ホルモンのような役割をするものがあるようで、その成分の影響で筋力の低下などにどのような影響があるかは意見が分かれるように思います。
しかしホップの成分の可能性としては女性ホルモンのような役割をすることから考えると骨密度や更年期障害などにも効果が期待できるかもしれませんし、鎮痛作用にも着目されているといわれています。
コルチゾール
コルチゾールというホルモンがあります。このホルモンはストレスホルモンとも呼ばれ、
ストレスに対処する際に分泌されるホルモンなのですが、血糖値を調整する役割があります。
コルチゾールはエネルギーの糖を生み出すために筋肉を分解してしまうため筋肉の低下がより進んでしまうこともあるようです。
適度な頻度と量の飲酒ではそこまで大きな悪影響はでないかもしれませんが、毎日の晩酌を行っている方やたくさん飲んでしまう方は注意しましょう。
コルチゾールはストレスによる脳の機能低下や血糖値の低下などを防ぎつつ、免疫力も高める役割があると言われています。
しかし過剰に分泌されてしまうと血圧や血糖が上がりすぎてしまいます。
また過剰分泌で海馬に影響するのではないか?と言われています。
アルコールは太らない??
よくお酒はエンプティカロリーという声も聞きますが、お酒のアルコール自体にもカロリーは存在します。
しかしその他の栄養素はないためにそのように呼ばれているようです。
またアルコールで摂取したカロリーというのは割とすぐに代謝されるため蓄積しにくいことからお酒で太らない!という風に言われているのではないか?と考えられます。
しかしお酒飲んでいれば代謝が早く蓄積はしにくいかもしれませんが、一緒に食事をしたりしている場合、体はアルコールを先に何とかしようとするために食事で摂取したものの代謝を妨げてしまうのでカロリーは通常よりも多く消費されずに残るようになります。
飲み会の席でカロリーの摂取を押さえようと思えばまず糖質の少ないお酒を飲むことと食事の内容に気を付けることが大事かもしれません。
ちなみにお酒を飲むと筋繊維が破壊されていくのでたんぱく質の豊富な食事をとりたいところです。
ストレス解消にパーっと飲みたい!!
ストレスが溜まりすぎた時にお酒でも飲んでストレスを発散させたい!!という方、なかなか多いです。
実はお酒でストレスを解消しようとするのは、あながち間違いではないようでお酒のもつアルコールにはストレスを押さえて解消してくれる作用があるようです。
これだけだとストレスが溜まればお酒を飲んでしまえばいいように思いますが、お酒でストレスを解消しようとした場合にはどんどん量が増えていく傾向にあるため依存症になってしまうリスクもありますので注意が必要です。
お酒を飲むと赤くなる人とそうでない人がいるのはなんで??
昔はお酒が弱くて飲めないでいると、よく飲んでいるうちに強くなるなんて言われました。
でもお酒の強さというのは遺伝的要素が大きく影響しているようです。
お酒を飲んだことによって血圧が下がったり、冷や汗をかいたり、動悸がしたりなどの複合的な症状が出ることをフラッシング反応というらしいです。
また顔が赤くなってしまうのは、アルコールを分解・代謝される際に出るアセトアルデヒドという物質の毒性によるものということが分かっています。
このアセトアルデヒドの影響で顔などの毛細血管が拡張されることで顔が赤くなるらしいのです。
さらにアセトアルデヒドは交感神経を刺激する作用が強いため、脈拍が上がり血圧が上がったり、冷や汗が出たり、筋肉が緊張したりなどの症状が出たりします。
しかし、お酒を飲んでアセトアルデヒドの影響で顔が赤くなったりフラッシング反応が出るのであれば、みんなが同じ症状がでてもおかしくないはずなのに顔が赤くならなかったりする人がいるのはなぜでしょうか??実はここにポイントがあるようなのです。
それはアセトアルデヒドを分解するアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)が大きく影響していると言われています。
このALDHは3つのタイプ(ALDH1・2・3)があると言われており、このうち1と3はあまり個人差がないと言われていますが、ALDH2は遺伝的要素のよるものが大きいとされており、ここの部分でお酒に強いか弱いかが決まるのではないか??と言われています。
摂取したアルコールは多くは肝臓で代謝されていきます。その時にアルコールはアセトアルデヒドに分解されていきます。このアセトアルデヒドはALDHによって酢酸に分解されてそのあとに炭酸ガスと水とエネルギーとなり体外へ排出されていくのですが、この部分の処理能力の高さでお酒に強いか弱いのかが決まるようです。
処理が低ければアセトアルデヒドの毒性を受ける時間が長くなるために、フラッシング反応などの症状が出やすくなります。
遺伝的にALDHの型は3つの型があり、お酒に強い遺伝子をN、弱い遺伝子をD。そしてNN型、ND型、DD型に分けられるようです。
NN型はALDH2がしっかりと正常に作用していくため、お酒に強いタイプです。
ND型はお酒に強い遺伝子と弱い遺伝子を持っていますが、NNと比べるとALDHの活性が弱く基本的にはお酒が弱いタイプ。
お酒は飲んでいると強くなるというのはこのNDのタイプの人らしいです。
DD型はALDH2が不活性なためお酒に弱くほぼ飲めないというタイプ。
しかし、これら以外にも色々説がありそうでこれらとはまた違った見解もあるようです。
脳のアルコールに対しての感受性も影響しているともいわれているらしいです。
また年齢によっても処理能力の速度は変わってくるようです。
お酒の強さや筋肉の痛みには遺伝的な要素も多いため、自分にとっての適量を見極める必要がありそうです。
近年では、お酒を無理に飲ませるようなことは少なくなったようですがお酒を飲んで体がだるくなったり、痛くなったりするようなことがあれば飲酒は控えたほうがいいかもしれませんね。