グロインペイン症候群とは?
グロインペイン症候群とは?
サッカー選手に多い症状ですが、ほかラグビー選手など、ボールを蹴る動作のあるスポーツ選手に多くみられる症状です。
鼠径部痛症候群と言われ、鼠径部(股関節部:ビキニラインの中心付近)周辺に痛みを感じることが特徴です。
1度なると治りにくく再発しやすいとも言われており、Jリーガーの選手も多くの方が悩まされてきています。
グロインペイン症候群で必ず確認したい3つの症状
症状1:キックの動作時に鼠径部やその周辺に痛みが出る
症状2:ランニングする際や起き上がり時に痛みが出る
症状3:重症になると歩いているだけでも痛くなる
グロインペイン症候群の原因
長らく原因不明と言われて、治りにくい症例の一つとしても有名です。
しかし最近では少しずつ原因が解読されてきています。
股関節の痛みなので、股関節が関係しているのは間違いないですが、その他周辺の組織が影響する場合も多く、股関節のみの治療だと良くなりにくい場合が多いです。
サッカーなど下肢をよく使うスポーツでは、体重(荷重)を何度も受け続けること、キックする際の足を素早く振る動作、からだを切り返す俊敏性などを繰り返します。
筋肉の持つ様々な能力を一度に要求されますので、股関節を含めた骨盤や腹筋、背筋に大きな負担を強いられます。
各部位が連動して体の動作を作り上げますので、仮に過度に負担がかかる部位が出てしまうと他の部位が補おうと連動補正が起こります。
その「小さなズレ」から徐々にバランスが崩れ、結果的に股関節に負担がかかり過ぎて痛みを出してしまう場合が多いようです。
グロインペイン症候群の症状
起床時に起き上がる際、足の付け根が痛くなることや、股関節の運動に伴って鼠径部に痛みが出ることが多いです。
重症例になると、歩行時でも痛みが出てしまい支障をきたす場合もあり注意が必要です。
初期の治療では安静が必要ですが、安静する期間を守れないことも治りにくい症例になっている理由とも言われております。
痛みとして体が伝えてくれている悲鳴をしっかりと理解して実践してあげましょう。
グロインペイン症候群の治療
まずは、原因がどこからどの程度あるのかを把握します。
解剖学的に問題がある場合(鼠経ヘルニア・疲労骨折など)も考えられますので、最初は専門医での判断を仰ぎます。それについて問題がない場合は、鼠径部痛症候群とみられますので、痛みの部位を見極めていきます。
大まかに分けて
① 股関節
② 内転筋
③ 股関節屈筋群
④ 腹筋
⑤ 腰部
をチェックし主たる原因はどこにある可能性が高いかを探ります。
また、骨盤全体のバランスも崩れていますので、上記で把握した局部と骨盤全体のバランスを整えていきます。
先述したとおり、安静期間が重要になってきますので、程度によって2週間前後の期間を設け日常生活で痛みのない範囲での負荷にとどめるように心がけましょう。
また、一度良くなっていても再発する可能性も高いのが特徴です。大きな運動強度に耐えられるよう普段から柔軟性の維持、ストレッチングなどが必要です。
グロインペイン症候群のセルフケア・注意点
痛みのある部分だけでなく、骨盤周辺の筋をバランスよく保つことが重要です。
立っているときにどちらかの足に体重を乗せるクセがある、足を組む・組む時に決まった足が上になる、足首をけがしても無理をしてプレーを続ける、運動後の柔軟やストレッチをまじめに行っていない、などの事が少しずつでも蓄積すると原因の一つとなり得ます。
まずは、以下を注意して行うようにしましょう。
① 下肢の柔軟性
特に大腿にある筋肉は直接的に股関節の動きに関わる筋であり、骨盤に付着しているものが多く存在します。これらの筋が疲労などで機能しにくくなると、股関節の可動域に直接かかわります。運動の前後にはストレッチングを必ず行いましょう。
② 下肢の各関節(股・膝・足関節)の運動
痛みを伴う場合は別ですが、こちらも運動前後にはしっかりと最大可動域を意識して動かしましょう。敢えて動かすことで、運動連鎖をして動いている筋の連動性を滑らかにすることができます。反復することでより高まります。ゆっくりでもよいのでしっかり可動域いっぱい動かすことを意識しましょう。
③ 体幹筋トレーニングとストレッチング
体幹筋(インナーマッスル)は、気付かないところで重心の保持などカラダのバランスをとってくれています。この働きが何らかの原因で衰えると、少しの事でカラダがふらついたり、姿勢が悪くなってしまいます。また、意識しないと効果的なストレッチがしにくい部位なので定期的にケアするように心がけましょう。
上記はヨガの「三日月のポーズ」と言われるものですが、股関節の柔軟性と体幹筋へのアプローチが一度で両方できます。後ろ足をしっかり伸ばし、上体も少し反ることができれば、なお効果的です。