頚椎症とは?
首コリ、寝違い、WAD:外傷性頸部症候群、頚椎症
〇首コリとは
頸部周囲の筋肉が短縮・伸長されて疼痛や倦怠感、頭痛、可動域制限などの症状を引き起こします。
〇寝違いとは
睡眠時に同じ向き(姿勢)を取り続け筋肉がうっ血状態となって疼痛や可動域制限を出す状態と言われているが、形質的な変化が認められない場合も多くあります。 ハッキリとした原因が分かっていないことも多いと言われていますが、上肢の使い過ぎや疲労なども要因となるとも言われています。
〇WAD:外傷性頸部症候群とは
外部からの衝撃などによって頸部に外傷を負った状態。一般的によく知られているのはむちうち症。ふとした時に頭をぶつけたりなど日常生活でも起こることがあります。
〇頚椎症とは
頚椎症は、頸椎の椎間板の変性や靭帯の肥厚などによって頸部の症状が発現したものを総称した呼び方。
頚椎症性脊髄症と頚椎症性神経根症とがあり、脊髄症は加齢などによって椎間板の変性が進み、骨棘を形成したり、靭帯が厚く硬くなることで脊柱管の脊髄が圧迫されることで症状が発現します。
神経根症は頸椎の変性(椎間板ヘルニアや骨棘形成など)によって椎間孔の狭窄が生じて神経根が圧迫されることで症状が発現します。
症状
〇首コリ
頸部痛、頭痛、肩の痛み、吐き気、可動域制限、倦怠感や疲労感、歯が浮くような感覚、目の奥の痛み、イライラなど首回りに様々な症状を引き起こします。あまりにひどいと強烈な痛みを伴うこともあります。
〇寝違い
痛みを伴う強烈な可動域制限と疼痛が主な症状で、下手に揉んだりすることで悪化することがあります。
〇WAD:外傷性頸部症候群
頭痛、頸部痛、肩の痛み、背中の痛み、四肢の痺れ、吐き気、聴力低下、筋力低下、不眠などがありますが、画像所見では形質的な変化を認められないことが多く、周りに理解されにくいことがあります。
〇頚椎症
主に頸部痛、痺れや感覚異常(知覚や巧緻障害など)などの症状があります。
原因
原因は各症状で異なりますが、WAD:外傷性頸部症候群や寝違いの症状や頚椎症などの症状も症状が発現する以前から慢性的な頸部の症状があるかないかということが症状の大小に大きく関わってきています。
・筋肉から原因を考えてみる
人の筋肉には大きく分けて3種類あります。
タイプⅠ(遅筋繊維)→有酸素系酵素の活性が高く、解糖系酵素(瞬発系)の活性が低い
タイプⅡb(速筋繊維)→有酸素系酵素の活性が低く、解糖系酵素(瞬発系)の活性が高い
タイプⅡa(持久力のある速筋繊維)→有酸素系酵素の活性が高く、解糖系酵素(瞬発系)の活性も持ち合わせている。
遅筋とは魚でいう赤身、速筋とは白身です。赤身は持久力に優れていて、白身は瞬発力に優れている分持久力は得意としていません。 またおおざっぱに分けると筋肉は体表に近い部分では白筋(タイプⅡ)の割合が多く、深部では赤筋(タイプⅠ)と中間筋(タイプⅡa)の割合が多くなっています。
一つの筋肉ですべてが赤筋肉や白筋で統一されているわけではなく、一つの筋肉の中で赤と白がどのくらいの割合を占めているかでその筋肉のタイプが決められます。
一つのタイプがその筋肉の55%を超えた場合にはそのタイプ優位の筋肉と呼びます。
体の深部の筋肉は、姿勢を保持したりする必要性が高いため瞬発力よりもスタミナが重要となってきます。「疲れたからもう体を支えることができません」では困りますもんね。
しかし、実際には運動する機会が減ることで筋肉の速筋の割合が増えてスタミナがなくなること、加齢による筋肉内の脂肪量の増加や骨格筋量の減少により首を支える力は低下してしまいます。
そうすると本来体を支えるはずの深部の筋肉の活性が低下し、逆に体表面近くの筋肉が支えることも出てくるために、体表近くの筋肉が硬くなっているように感じてしまいます。
要は筋疲労しやすい状態と言えます。筋疲労しやすい状態では頸部の症状が慢性化しやすいだけでなく、何か衝撃が加わった際には症状がより強く出てしまう可能性も高くなってしまうのです。
これは頸部に限ったことではなく、脊柱周囲の筋肉は同じことが言えます。ウォーキングなども一定の効果があるようですが、手っ取り早く筋肉へ刺激を入れるには筋トレが一番いいようです。
・状況から原因を考えてみる
例えば、日常生活の中で、目をよく使う、立ちっぱなしが多い、力仕事が多いなどで、首に負荷がかかり頸部の症状が出ることがあります。
無理して我慢していると、疲労がどんどん蓄積していきやがて首のギックリ腰のような強い疼痛などとなって現れます。
このような場合には問題となる動作や習慣自体を改善させることが難しく、自宅でのケアや意識がとても大事になります。
・ストレスなどから原因を考えてみる
ストレスがとても大きくかかっている場合やイライラしているときにも頸部への負担が増えます。 これは噛みしめるという行為などが大きく関わってきます。
ストレスを感じたりイライラすることで、無意識のうちに噛みしめてしまいます。 上の歯と下の歯が触れているだけでも黄色信号です。
本来普通にしているときには上の歯と下の歯は触れないからです。 噛む筋肉というのは、過緊張を起こすことで頸部の筋肉にもその緊張を伝えてしまい頸部のつらさや頭痛などに発展してしまいます。
治療
当院では、頸部の症状に対してただ筋肉を緩めるだけということはせず筋力低下などもないかしっかりと見て施術していきます。
特に長年頸部の症状で悩まされている方には、筋肉への刺激を入れたりもしていきます。
また、頸部の疼痛が激しく頸部への施術が難しいときなどは、離れた部位からの頸部へのアプローチも行っていきます。
首は大事な部分ですので安心して施術が受けていただけるように行っていきます。
また頸部の症状は、首周囲の筋肉だけではなく、手や脚などからも影響を受けるため、首の症状であっても他の部分も施術をしていくことがあります。
自宅で出来る首の症状のセルフケア
頸部の外側の症状
頸部前後面の症状
脊柱の運動
≪参考文献≫」 運動器理学療法研究部会 筋から考えるむち打ち損傷関連障害(WAD)の理学療法2014