新型コロナワクチン(M-RNAﾜｸﾁﾝ)はどのようなワクチンですか？何が怖いのでしょうか？

新型コロナワクチン(M-RNAﾜｸﾁﾝ)はどのようなワクチンですか？　何が怖いのでしょうか？

新型コロナのワクチンはなんだか怖い…と思われる方も多いと思いますが、「何が」「どう」怖いのか！!?　そもそもどんなワクチンなのか!?　そんな質問が多くみられます。今回はそのワクチンについて調べてみました。

その前の知識として、ワクチンとはどういうものか!? を説明します。私たちの身体には『免疫』と呼ばれる「自分とは違う物質」が体内に侵入してくると、攻撃しやっつけてくれる機能があります。(詳細はQ＆Aブログ｛免疫とウイルス対策｝をご参照ください)菌やウイルスが体内に入ってくると、この免疫機能によって「直接攻撃(細胞性免疫)」と「抗体による攻撃(液性免疫)」を行いますが、抗体による攻撃は、一度も体内に侵入したことのない物に対しては、対応する抗体を探し出す＆作る作業に時間が(長いと3日くらい)かかってしまいます。この状態の時がいわゆる「免疫がない」時です。一度かかってしまえば、その物質に対して効果の高い抗体の作り方を記憶してしますので、菌やウイルスに増殖する時間を与えず発症する前にやっつけることができます。

ワクチンは、菌やウイルスを弱毒化したものや死骸をあえて体内に投入し、免疫を反応させて一度かかった状態をつくります。そうやってウイルスなどへの耐性を獲得して「免疫のある」状態にもっていきます。

しかし、今回のような新型のウイルスだと、いくら弱毒化しても全貌が見えていないウイルスを体内に投入することは危険ですし、そもそも弱毒化のウイルスを培養するのには数年単位で時間がかかると言われています。そこで何年も前から研究されていたM-RNAワクチンが今回承認されました。

ワクチンとは？

（メッセンジャーRNA）と名前が付いています。今回のコロナウイルスに対応するワクチンとして期待されています。生体内でDNAの遺伝情報を複製するときに活躍する物質がM-RNAです。その機能を利用して免疫を獲得しようと考えられました。既に20年以上研究されている新しいワクチンです。

従来のワクチンと大きく違う点は、

‣ウイルスそのものではなくてウイルスの遺伝情報の一部(M-RNA)を使用する

‣M-RNAはウイルスから採取せず、人工的に作成したものである

と言えます。

M-RNAワクチンを接種すると、からだの中では以下のような作用が起こります。

• M-RNAは、ヒトの細胞と融合して準備をします
• ヒトの細胞の機能を借りて、M-RNAが持つ遺伝情報（コロナウイルスが持つ一部のタンパク質の情報）を基に、スパイクタンパク質（コロナウイルスの図で見る、表面のとげの事）を作り出します
• そのとげがヒトの細胞の表面に出てくると、自己免疫が「異物」と認識し反応をはじめ、抗体を生成していきます
• 接種したM-RNAは体内で分解され消滅します(性質上、寿命が短く壊れやすく設計されているので、接種前の保管温度がかなり低くなっているのも、それを守るためです)
• 抗体を生成する過程で、その反応が強く出る場合があり、その反応が副作用とか副反応と言われています
• 抗体を生成することで、そのことを「記憶」し、本当のコロナウイルスが侵入してきた場合でも即座に免疫がはたらくことができます

以上の流れで人為的に免疫を獲得できるようになりました。

 

Ｑ1　人工的に作ったものをカラダに注入して大丈夫なの？

人工的なものとはいえ、物質として考えると天然のM-RNAが構成している核酸と言われる物質そのものです。この物質はすでに細胞内に存在しています。また今回コロナワクチンに用いるM-RNAは、スパイクタンパク質の遺伝情報のみ抽出したものなので仮に体内に侵入する場合として、ウイルス全部が侵入する場合と、ウイルスのごく一部の物質が侵入する場合と、どちらがよりリスクなのか？を考えてみると分かりやすいかと思います。

まとめると…

• 物質は生体内の核酸そのもの
• ウイルス全部使用せずウイルスのごく一部で抗体ができる

Ｑ２　ワクチンが体にずっと残ったりしないの？

M-RNAの役割は決められており、「細胞質」と言われる細胞内の場所で、その細胞の機能を借りて持っている情報を基にタンパク質を作っていきます。その後、役割を終えたM-RNAは分解され消滅していきます。

また、ヒトの細胞の中ではＤＮＡが存在する「細胞核」と、その他の「細胞質」との間が細胞膜でしっかり分かれていることと、そもそもM-RNAは核内に入れないためDNAに影響を及ぼすこともありません。

また、このワクチンの開発に20年以上掛かった要因の1つには、M-RNAを壊れずにヒトの細胞内まで届けられるか!?の問題があったそうです。それだけ脆いもののようです。さらに保管温度も-70度でないと状態が保てないものが体内で残り続けることは難しいと考えます。

まとめると…

• M-RNAは役割を終えると分解される
• ヒトのDNAに影響を与えない
• 体温程度の温度で長く存在できない

と言えます。

Ｑ3　副作用、副反応は！？

他のワクチンと同様で副反応が絶対にないわけではありません。最近ではあるメーカーのワクチンで血栓症が起きた可能性があると使用を中止している国もあることは事実です。

ある国立病院では、以下のようにアナウンスしています。

＊接種すべきでない人

・ ワクチン成分そのものに重度のアレルギーを持っている

・ ポリエチレングリコール（化粧品等に含まれていることがある物質）ポリソルベート（乳化剤などでチョコレート等に含まれることがある物質）に対するアレルギーを持っている

＊接種可能だが担当医等と協議の必要がある人

・ 妊娠、授乳中（治験した人に妊婦等の方が少なくデータが不足しているため）

・ 重度のアレルギー疾患がある

・ 血液抗凝固薬を使用中

・ 自己免疫疾患を持っている　　などです。

すでにアレルギーを持っている場合は担当医や接種医に相談されることをお勧めします。

M-RNAワクチンを含むすべてのワクチンの目的が、ヒトの免疫反応を作動させて抗体を作ることを目的に作られていますので、個人差・個体差による免疫過剰反応は、少ない数ですがすべてのワクチンに等しく存在してしまいます。特段今回のワクチンが非常に怖いものではなくて、今存在する他のワクチンと同程度のリスクはあるものと認識しておきましょう。

まとめると…

• 副反応、副作用は（すべてのワクチンに）ある
• 接種すべきでない対象の方もいるので必ず調べる、相談すること
• 正しく怖がる

正しい知識をもってこの禍中を乗り越えていきましょう！！